【サイバー攻撃は他人事?】タイムズカーで免許証画像まで流出した影響(後編)
HAKONIWA Lab
タイムズカー流出で考える
個人のサイバー対策3つ

「流出したのは会員の情報でしょ? 自分の生活には関係ないよね」
そう思っている方も多いのではないでしょうか。
2026年9月、カーシェアの「タイムズカー」で約660万件の会員情報が取得されました。うち約160万件では、免許証の画像などの本人確認書類まで漏れています。
同じ9月には、宿泊予約の管理システムへの不正アクセスで、予約の中身を知っているかのようなニセのメッセージが、予約客のもとに届きました。実は、会社から漏れた情報は"次の詐欺の材料"になって、静かに私たちのスマホまで戻ってきているんです。
「それでも、私の情報なんて狙われないでしょ」と思うかもしれません。ただ、2025年の1年間に寄せられたフィッシングの報告は約245万件。2年前の約2倍です。フィッシングは、数を打って、ドアを開けてくれる人を探す手口なんです。
会社の戸締まりは選べません。
でも、自分の家の鍵は、今日から自分で変えられます。
この記事では、前編に続いて「空き巣と戸締まり」の例えで、2026年秋の国内の事例から、サイバー攻撃が暮らしにどう届くのか、個人で何ができるのかを整理します。
全部を完璧にやらなくても大丈夫です。お金に直結するところから、順番に鍵をかけていく。それがHAKONIWAのおすすめです。約5分後、読み終わるころには、スマホで最初の1つの鍵をかけられる状態になっているはずです。
前編では、泥棒の入り口はたいてい3つだとお話ししました。"古いままの勝手口"、"盗まれた合鍵"、そして"宅配業者を装ったニセの訪問者"です。
👉 前編:サイバー攻撃とは? タイムズ、京王、GMO…相次ぐ被害の正体
前編を読んでいない方も大丈夫です。この記事では、この3つの入り口を、自分の家の3つの鍵で閉じていきます。
1. 暮らしに届く3つの影響
レジが止まる。免許証が漏れる。ポイントが消える。

2026年秋の事例を利用者の側から見直すと、サイバー攻撃が暮らしに届く道は、大きく3つあります。
影響①:買えない・払えない
京王グループが攻撃を受けた2026年9月26日、電車は動いていたのに、グループのスーパーの一部ではカード払いやポイントが使えず、ホテルでは予約の受付が止まりました。8月には、JEANS MATEの一部店舗が一時、原則現金払いのみになっています。
影響②:情報が流れて、悪用される
タイムズカーで漏れたのは、氏名、住所、生年月日、電話番号、そして免許証の画像などです。これだけそろうと、携帯電話の契約や口座の開設など、なりすましに使われるおそれがあると専門家は指摘しています(パーク24は、現時点で不正利用は確認されていないとしています)。
焼肉きんぐのアプリ(約1,079万件)やセイコーマートのアプリでも、名前や電話番号などの会員情報が漏れた、または漏れた可能性があると公表されています。
影響③:お金を直接狙われる
GMOリサーチ&AIのアンケートサイト「infoQ」では、会員がためていたポイント611件・約287万円分が、勝手にギフトコードへ交換されました(会社は全額を補填する予定)。
影響 | 2026年秋の例 | 私たちに起きること |
|---|---|---|
買えない・払えない | 京王グループ、JEANS MATE | カード払い・ポイントが使えない |
情報が流れる | タイムズカー、手間いらず、焼肉きんぐ | なりすましやニセのメッセージの材料に |
お金を狙われる | GMOリサーチ&AI(infoQ) | ためたポイントを勝手に交換される |
1つ目は、会社の復旧を待つしかありません。でも、2つ目と3つ目は、自分の戸締まりで被害を小さくできます。
2. 今日からできる3つの戸締まり
入り口は3つ

泥棒の入り口が3つなら、閉じる鍵も3つです。
鍵①:勝手口を直す(OS・アプリの更新)
スマホやPCのOS、アプリを更新して、古いままの弱点をふさぎます。自動更新をオンにしておけば、自分で覚えておく必要もありません。
鍵②:合鍵を増やさない(パスワードと認証)
同じパスワードの使い回しは、1本の合鍵で何軒もの家が開く状態です。1か所で漏れると、ほかのサービスにも入られるおそれがあります。そのうえで、二段階認証やパスキーを使います。パスキーは、顔や指紋で本人確認するログイン方法で、ニセのサイトでは使えない仕組みです。証券会社では、こうした認証を必須にする動きも進んでいます。
鍵③:チャイムですぐ開けない(リンクから開かない)
メールやSMSのリンクからはログインせず、公式アプリかブックマークから開きます。本物の予約内容を知っているニセのメッセージも届くので、気になる連絡は自分で予約サイトやお店に確かめましょう。

フィッシングの報告は、2年で約2倍に増えています。
💡 全部を一度にやる必要はありません。 まずは「銀行」「証券」「メインのメールアドレス」の3つから。メールアドレスは、ほかのサービスでパスワードを忘れたときに、再設定の案内が届く場所でもあります。
ここまでは、"泥棒を入れない"ための鍵です。最後に、"会社から情報が漏れたあと"の動き方を見ておきましょう。
3. 「お詫び」が届いたら? 漏洩ニュースのあとにやること

タイムズカーは2026年10月1日までに、対象の会員へ個別のメールで案内を始めました。もし、あなたのもとに「個人情報流出のお詫び」が届いたら、どうしますか。
やることは3つです。
そのサービスのパスワードを変える。 お詫びのメールのリンクからではなく、公式アプリかブックマークから開きます。
同じパスワードを使っていたほかのサービスも変える。 使い回した先にも入られるおそれがあるからです。
その会社を名乗る連絡は、公式窓口で確かめる。 パーク24も、メールやSMS、電話でパスワードやカード情報を聞くことはないとしています。
相手が自分の名前や住所、予約の中身を知っていても、それだけで本物だと思わないでください。免許証などの本人確認書類が漏れた場合は、身に覚えのない契約の案内や請求が届いていないかにも気をつけましょう。
🎯 怪しいメールやメッセージを、AIと一緒に確かめてみよう
次のメール(またはSMS、メッセージアプリの投稿)が、詐欺やフィッシングの可能性があるか確認したいです。
以下の3点を、専門用語を使わずに教えてください。
1. 怪しいと考えられる点(差出人、急がせる表現、リンク先の表記など)
2. 本物かどうかを確かめるために、自分でできる確認方法
3. このメッセージの中のリンクや電話番号を使わずに、公式の窓口を探す方法
判断できない点は、推測せず「判断できない」と答えてください。
(ここに本文を貼る。氏名・住所・電話番号・予約番号・口座番号などは消してから貼る)リンクは開かずに、本文だけを貼ってください。AIの答えは判断材料の1つ。最後は公式アプリや公式サイトで確かめましょう。
困ったときの相談先:
警察相談専用電話:#9110
消費者ホットライン:188
IPA 情報セキュリティ安心相談窓口:03-5978-7509
(10時〜17時、土日祝・年末年始を除く)
冒頭の例えに立ち返ってみましょう。会社の勝手口がいつ破られるかは、私たちには選べません。でも、自分の家の勝手口を直す、合鍵を増やさない、チャイムが鳴ってもすぐには開けない。この3つは、今日から自分で選べます。
4. まとめ
サイバー攻撃は、3つの道で暮らしに届く。買えない・払えない/情報が流れて悪用される/お金を直接狙われる
自分の家の鍵は3つ。勝手口を直す(更新)、合鍵を増やさない(使い回さない・二段階認証・パスキー)、チャイムですぐ開けない(リンクから開かない)
まずは銀行・証券・メインのメールアドレスの3つから
「お詫び」が届いたら、パスワードの変更、使い回し先の変更、公式窓口での確認。お詫びのリンクからは手続きしない
🛠️今日からできること
銀行・証券・メインのメールのうち1つで、二段階認証(またはパスキー)がオンになっているか確かめる
各サービスの公式アプリを開き、「セキュリティ」や「ログイン設定」の画面を見るだけです。オフになっていたら、その場でオンにします。
3つ全部を確かめるのが面倒なら、いちばんよく使う1つだけで十分です。これが、いちばん手軽な戸締まりです。
5. FAQ
Q. タイムズカーを使っていたけど、何をすればいいの?
A. まずはタイムズカーの公式サイトで最新のお知らせを確認し、同じパスワードを使っていたほかのサービスも変えておきましょう。パーク24は、メールやSMS、電話でパスワードやカード情報を聞くことはないとしています。
Q. パスキーって、設定が難しくないの?
A. 難しくありません。スマホのロック解除と同じように、顔や指紋で本人確認するログイン方法です。対応しているかはサービスごとに違うので、まずは各サービスのセキュリティ設定を見てみてください。
Q. サービスごとに違うパスワードなんて、覚えきれないよ…
A. 覚えなくて大丈夫です。スマホやブラウザのパスワード管理の機能に任せれば、覚えておく必要はありません。
Q. 怪しいリンクを押してしまったら、どうすればいい?
A. 何も入力していなければ、まずは画面を閉じましょう。IDやパスワードを入力したら、すぐに変更を。カード番号を入力したら、カード会社に連絡して止めてもらいます。お金の被害が出たときは、警察に相談しましょう。
🛠️ 次のステップ:
あわせて読みたいコンテンツ
📖【Meta Museとは?】「答えるAI」から「代わりに動くAI」へ
📖 生成AIのセキュリティ
「情報漏洩、大丈夫?」と聞かれて答えられますか
📖 AI失業
あなたの仕事がなくなる?データで見る「いま起きている本当のこと」
📖 【フィジカルAI|前編】
ロボットが100mを8秒台で走る時代!いま何が起きているのか?
📖 【3大AI比較】
ChatGPT|Claude|Gemini 結局どう違う?(入門編)
📖 【5分で完全解説】
Claude Coworkとは?Claude ChatやClaude Codeとの違い
📖 【5分で完了】
Claude Coworkの初期設定手順(初心者向け)
📬 【AIの無料相談】
自社チームにどうAIを組み込むべき?
無料ワークフロー診断・お問い合わせはこちら
「自社の動画制作フローや、クリエイターチームの業務にどうAIを組み込むべきか迷う…」という企業様向けに、個別ワークフローの無料診断・ご相談も承っています。お気軽に以下よりお問い合わせください。
📚 出典
統計・調査
各社の発表・報道(本文の登場順)
タイムズモビリティ「『タイムズカーWebシステム』への不正アクセスに関する調査結果および今後の対応について(第3報)」(2026年9月29日)
ScanNetSecurity「REXTへのランサムウェア攻撃、JEANS MATE店舗での支払いは原則として現金のみに」(2026年8月20日)
週刊アスキー「セイコーマートアプリに不正アクセス 約57万アカウントで氏名・住所など流出の可能性」(2026年9月29日)
GMOリサーチ&AI「当社が運営するアンケートサイト『infoQ』への不正アクセスによる個人情報漏えいに関するお詫びとお知らせ」(2026年10月5日)
対策・相談先
※2026年10月8日時点の情報です。
※AIツールの環境はめまぐるしく変化しています。本コンテンツの内容は2026年10月現在を起点とした実践と考察の記録です。仕様変更により情報の齟齬が生まれる可能性がある点はご了承ください。最新情報はコンテンツにて随時アップデートいたします。
※本記事は、当社の実践・研究と複数のAIクリエイターの検証結果や動向を参考に、ノンエンジニアのビジネスパーソン・クリエイター向けに構成したものです。
HAKONIWA Lab
HAKONIWA Labでは、日常で役立つAIの活用法、AIツールの開発、SNSマーケティング、インサイト分析の自由研究をノンエンジニアの視点で行っています。
「専門外の方でもわかる、使える、応用できる」をテーマに、実践と研究にもとづく情報を発信していきます。
HAKONIWA
HAKONIWAは、広告・採用・SNS・Web・展示会・営業で「成果につながる動画」を、戦略立案から企画・制作まで一貫して支援するクリエイティブスタジオです。
自社IP・SNS運営で培った「動画×AI×SNS」の知見を活かし、製品・サービス・技術・ブランド・企業の価値が伝わり広がるコミュニケーションを設計します。
・制作実績:1000本以上
・自社SNS:120万フォロワー