【AIセキュリティ】「情報漏洩、大丈夫?」と聞かれて答えられますか
HAKONIWA Lab
2026/8/26 02:25
危ないのは"AI"じゃない!
"コピペする内容"でした

「AIに入れた情報って漏れないの?」
最近、AIに関するネガティブなニュースがよく流れてくるせいもあってか、そんな質問をいただくことが増えました。
議事録をAIに整理してもらおうとして、コピペする直前に手が止まった。上司から「それ、情報漏洩は大丈夫?」と聞かれて、うまく説明できなかったので、それ以来、なんとなく使うのをやめている。そんな声もよく聞きます。
もったいないと思いませんか?使えば確実に速くなる仕事があるのに「よくわからないから触らない」で止まってしまうのは。HAKONIWA Labで調べたところ、その不安の正体は、3つだけでした。そして、AIのセキュリティは、「どのAIを使うか」ではなく「どのプランで、何を入力するか」でほぼ決まります。
AIを仕事で使うことは、打ち合わせをする「場所」を選ぶことによく似ています。駅前のカフェでも打ち合わせはできますし、実際そうしている方も多いはずです。ただ、契約書や顧客名簿をテーブルいっぱいに広げる人は、たぶんいませんよね。危ないのは「カフェで打ち合わせをすること」ではなく、「そこに何を広げるか」の方です。生成AIも、まったく同じです。
この記事で分かること
生成AIで実際に問題になるリスクは、大きく3つに分けられること
個人向けプランと法人向けプランで、入力したデータの扱いがどう変わるのか
学習をオフにする設定手順と、そもそも危ない情報を入れないための書き方
※各サービスの仕様は、2026年8月時点の公式ドキュメントをもとにしています。
1. 危ないのは「AI」ではなく「入力」

「AIは危ない」と言われるとき、その中身は実はかなりバラバラです。
「入力した内容が学習に使われる」という話と、「同僚と共用しているPCに履歴が残っている」という話、「AIが書いた文章をそのまま社外に送ってしまった」という話。この3つはまったく別の問題なのですが、日常会話ではぜんぶまとめて「AIって危ないらしい」になってしまいます。だから、対策も決まらない。「危ないらしい」に対しては、「使わない」しか答えが出てこないからです。
ここで押さえておきたいのは、AIは勝手にみなさんのパソコンの中を覗きにくるわけではない、ということです。問題になるのは、自分で入力したものが、その後どう扱われるか。つまり、AIの側ではなく、入力の側の話です。
実際、事故として表に出るケースの多くは、技術的に破られたのではなく「入れてはいけないものを、そのまま入れてしまった」という形をしています。
裏を返せば、入力と設定さえ押さえてしまえば、必要以上に怯える理由はありません。
💡注意ポイント:「無料だから危険、有料だから安全」という単純な線引きではありません。同じ有料でも、個人向けと法人向けでは前提がまるで変わります。ここは第3章で詳しく見ていきます。
以下、まずは「3つに分かれる」の中身から整理していきます。
2. 押さえるべきリスクは、この3つだけ

ここが、この記事の中心です。生成AIのリスクは、次の3つに整理するとスッキリします。
① 入力した内容が、学習に使われる
みなさんが入力した文章が、AIの改善のために使われることがあります。個人向けのプランでは、設定によってこれが起きます。とはいえ、入れた文章が明日どこかで他人の画面にそのまま出てくる、という話ではありません。ただ、自分の手元だけで完結していない状態ではある。まずはそう捉えておけば十分です。ここでひとつ、意外と知られていないことを。学習をオフにしていても、回答の下にある👍👎のボタンを押すと、その会話全体がAIの改善に使われます。 ChatGPTもClaudeも、公式にそう書かれています。
② 履歴とアカウントに残る
会話の履歴は、みなさんのアカウントに残ります。共用パソコンにログインしっぱなし、退職した人のアカウントがそのまま、パスワードが他のサービスと同じ。危ないのは、たいていこういう地味なところです。
③ 人が運んでしまう
社外秘の資料をそのままコピペする。AIが書いた文章を、確認せずに社外に送ってしまう。実際に事故になるのは、ほとんどがこの形です。

3つのうち、AIならではの問題は①だけです。②と③は、AIが登場する前からある、ふつうの情報管理の話です。だから、打つ手も分かれます。①は設定で止められる。②と③は、設定しても止まりません。
💡注意ポイント:③は「ツールが安全かどうか」の問題ではありません。社内で「これは入れない」を決めるだけで、ほとんど解決できます。第5章で具体的なやり方を紹介します。
それでは、①の「学習に使われる」が、プランによってどう変わるのかを見ていきましょう。
3. 個人プランと法人プラン、何が違うのか

ここでもういちど、冒頭の「場所」の話を思い出してください。
カフェと会議室の違いは、設備の良し悪しではありません。「そこで話したことが、外に届く前提かどうか」です。AIのプランの違いも、まったく同じところにあります。
ChatGPTならFree・Plus・Pro、ClaudeならFree・Pro・Max。これらはすべて個人向け、つまりカフェの席です。使いやすさが優先されていて、入力したものを学習に使うかどうかは、みなさんの設定に委ねられています。 一方、ChatGPTのBusinessやEnterprise、ClaudeのClaude for Work(Team・Enterprise)は法人向け。こちらは契約の時点で「入力も出力も学習には使わない」が既定になっています。 会議室を借りるのと同じで、話の内容が外に出ない前提が最初から用意されている状態です。

個人向けプラン | 法人向けプラン | |
|---|---|---|
学習への利用 | 設定しだい | 既定で使わない |
誰が設定するか | 自分 | 契約の時点で完了 |
向いている使い方 | 下書き・調べもの・アイデア出し | 顧客情報や社外秘を含む業務 |
ここで気をつけたいのが、有料にしたから安全になる、というわけではないことです。同じ有料でも、個人向けのPlusやProは、あくまでカフェの席のまま。個人向けと法人向けの境目は、料金ではなく契約の種類にあります。
会社がMicrosoft 365を導入している場合
勤め先がMicrosoft 365を使っているなら、Copilotが最初から会議室として用意されている可能性があります。会社のアカウント(職場または学校のアカウント)でサインインしてCopilotを使うと、エンタープライズデータ保護という仕組みが自動で適用されます。入力したプロンプトも、返ってきた応答も、基盤となるAIモデルの学習には使われません。管理者側の設定も不要です。
ただし、落とし穴もあります。Copilotは、名前が同じで中身が別のものが存在します。個人のMicrosoftアカウントで使うCopilotは、あくまで個人向け。見た目はほとんど同じなのに、保護の対象外です。見分け方はかんたんで、画面上部の[新しいチャット]ボタンの横に、緑色のシールドのマークが出ているかどうか。これが出ていれば、保護された状態で使えています。 自分の勤め先が「AIはCopilotだけ」という方針なら、まずここを確認してみてください。
とはいえ、会社がまとめて法人契約してくれるとは限りませんよね。その場合の現実的な答えは、「設定でカバーする」と「そもそも危ないものを入れない」の2本立てです。次の章から、順にやっていきましょう。
※プラン名と仕様は2026年8月時点のものです。
4. まずやる設定:
学習をオフにする(3分)

まずは自身で設定しましょう。所要時間は3分、アカウントひとつにつき一度きりの作業です。
⚪ ChatGPTの場合
画面のプロフィールアイコンをクリック
「設定」を開く
「データコントロール」→「モデル改善に協力する」を選ぶ
「モデル改善に協力する」をオフにする
🟠 Claudeの場合
画面の自分の名前をクリック
「設定」を開く
「プライバシー」を選ぶ
「AIモデルの改善にご協力ください」をオフにする
※どちらも、切り替えたその場で反映されます。保存ボタンはありません。
🔵 会社のCopilotを使っている場合
この作業は不要です。 職場のアカウントでサインインしていれば、学習に使わない設定が最初から効いています。 確認するのは設定画面ではなく、[新しいチャット]ボタンの横の緑色のシールド。これが見当たらないときは、個人のアカウントでサインインしている可能性があります。
💡注意ポイント:この設定はアカウント単位です。チームで使っているなら、全員がやらないと意味がありません。またChatGPTは、ログインせずにブラウザから使っている場合、設定がそのブラウザだけの扱いになります。 ここで、勘違いしやすい点を2つ。
注意①:オフにしても、会話の履歴そのものは消えません。 履歴も残したくないときは、ChatGPTなら「一時チャット」、Claudeなら「インコグニトチャット」を使います。こちらは学習にも使われません。
注意②:オフにできるのは「今日から先」です。すでに始まっている学習から、過去のデータを取り除くことはできません。 だからこそ、設定は思い立ったときにやってしまうのが得です。
※画面は2026年8月時点のものです。
5. 「置き換え」を、面倒にしない方法

設定を変えても、入力そのものが危なければ意味がありません。ここで出てくる答えは、たいてい「固有名詞を伏せてから渡しましょう」です。
ただ、これを実際にやると、とんでもなく面倒です。
議事録1本に社名が12回、担当者名が8回。これを毎回手で書き換えるくらいなら、AIを使わない方が速い。そう思って結局やめてしまう。ここが、多くの人が現実にぶつかっている壁だと思います。
だから、この章では「気をつけましょう」とは言いません。手間そのものを減らす方法を、コストの軽い順に3つ紹介します。
その1:置き換える対象を、1種類に絞る
まず、全部を伏せようとするのをやめます。伏せる価値があるのは、その情報だけで相手を特定できるものです。具体的には、社名・個人名・連絡先。この3つだけ。金額や日付、業種、案件の内容は、単体では誰の話か分かりません。「A社との契約が350万円で、納期は9月末」と書いても、A社が誰か分からなければ、ただの数字です。判断するものが減ると、作業は一気に軽くなります。
その2:置換は、手ではなく機能でやる
社名や担当者名は、毎回同じものが出てきます。つまり、一度決めれば使い回せます。
自分がよく扱う固有名詞を10個ほど書き出し、「A社」「顧客B」などの置き換え先を決めておく
WordやGoogleドキュメントで、
Ctrl+H(MacはCommand+Shift+H)の置換機能を開く「すべて置換」を押す
これだけで、12箇所の社名は1秒で消えます。手で直していたものが、操作ひとつになる。置き換え表は一度作れば、次からは開くだけです。
その3:専用のソフトに任せる
ファイルをまるごとAIに渡すことが多いなら、マスキング専用のソフトという手もあります。ただ、ここは正直に書いておきます。この分野の製品は、そのほとんどが法人向けです。ユーザーローカルやアグレックスなどが提供していますが、いずれもクラウドかオンプレミスでの導入が前提で、価格は問い合わせ。情報システム部門が検討するもので、個人が明日から使えるものではありません。
その中で、個人が買い切りで使えるものとして、ソースネクストの「いきなりAI 情報マスキング」(4,950円)があります。氏名・電話番号・メールアドレスなどを自動で検出し、「人名A」のような代替テキストに置き換えるソフトです。会社名やプロジェクト名は、自分で登録しておけます。 これがベストだと言いたいわけではありません。「個人が今日買えて、パソコンの中だけで処理が終わる」という条件で絞ると、選択肢がほとんど残らない、というのが実際のところです。なので、製品名より選ぶときの基準を覚えておいてください。
処理がパソコンの中だけで完結すること。
ファイルをどこかのサーバーにアップロードする方式だと、AIに渡さないために別の会社に渡すことになります元に戻せること。
置換リストが残り、AIの出力を実名に復元できるか文脈が残る形で置き換わること。
ただ黒く塗るだけだと、AIは何の話か分からなくなります。
この3つを満たしていれば、どの製品でも構いません。
💡注意ポイント:「この文章を匿名化して」とAIに頼むのは、やめておきましょう。 頼んだ時点で、生のままの文章をAIに渡してしまっています。置き換えは、AIに渡す前に、自分の手元で終わらせる作業です。
🎯 いちばん速いのは、最初から実名を書かないこと
そもそも実名を書かずに依頼できるなら、置き換え作業は発生しません。この型を使ってみてください。
【状況】
A社(取引先・製造業・従業員300名規模)から、納期の前倒しについて相談を受けています。
【前提】
- 当初の納期は今月末
- 先方の希望は2週間前倒し
- こちらの実務では1週間の短縮が限界
【お願い】
先方に、1週間なら対応できる旨を伝えるメールの下書きを作ってください。
条件を提示しつつ、関係を悪くしない書き方でお願いします。役割と条件だけで、AIは十分に的確な文章を書きます。返ってきた下書きの「A社」を、送る直前に本当の社名へ戻す。それだけです。
慣れてくると、置き換えという作業自体がなくなります。最初から、伏せた状態で考えるようになるからです。
6. 「情報漏洩、大丈夫?」と聞かれたときの答え方

最後に、この記事の出発点だった場面に戻ります。上司や他部署から「それ、大丈夫なの?」と聞かれたとき、何と答えるか。答えるべきことは3つだけです。
どのアカウントで使っているか(個人プランで学習をオフにしている/会社のCopilotを職場アカウントで使っている)
何を入力していないか(社名・個人名・連絡先は伏せている)
生成された文章を、誰が確認して出しているか(自分が全文を読んでから出している)
この3つが言えれば、話は通ります。逆に、この3つが言えない状態で使っているなら、それは本当に危ない使い方です。聞いてくる側も、実は「使うな」と言いたいわけではないことが多いものです。ただ、何も考えずに使われるのが怖い。だから、考えた形跡が伝われば、たいていの場合それで十分なのです。
ここで、冒頭の例えに立ち返ってみましょう。打ち合わせをカフェでするのは、悪いことではありません。誰も「カフェで仕事をするな」とは言っていない。テーブルに広げる書類を選べばいいだけです。そして、どうしても広げなければいけない案件のときだけ、会議室を取ればいい。生成AIも、まったく同じです。危ないから使わない、ではなく、危ない使い方をしない。 判断できるようになれば、避ける必要はなくなります。
7. 📝 まとめ
生成AIのリスクは「学習に使われる」「履歴とアカウント」「人が運ぶ」の3つ
設定で防げるのは1つ目だけ。残りの2つは、使い方で防ぐ
個人プランと法人プランの境目は、料金ではなく契約の種類にある
置き換えは手作業でやらない。対象を3種類に絞り、置換機能かソフトに任せる
聞かれたときに答えるのは「どのアカウントか」「何を入れていないか」「誰が確認したか」
8. 今すぐできる2ステップ
ステップ1:今日(3分)
使っているアカウントの学習設定をオフにする。会社のCopilotなら、緑色のシールドが出ているかだけ確認する。
ステップ2:今週(10分)
置き換え表を1枚作ります。メモアプリでもスプレッドシートでも構いません。
株式会社◯◯商事 → A社
△△製作所 → B社
山田太郎 → 顧客A
田中部長 → 上長B自分がよく扱う取引先と担当者を10個ほど、この形で書き出すだけです。実際に使うときは、AIに渡したい文章をWordかGoogleドキュメントに貼り付けて、Ctrl+H(MacはCommand+Shift+H)で置換画面を開きます。検索欄に実名、置換欄に「A社」を入れて「すべて置換」。これを表の分だけ繰り返せば、置き換えは終わりです。あとは、置き換わった文章をコピーしてAIに渡すだけ。表は次回からも使い回せます。
8. FAQ
Q. 一度入力してしまった情報は、もう取り消せない?
A. 学習をオフにしても、すでに始まっている学習から過去のデータを取り除くことはできません。ただし、会話の削除やアカウントのデータ削除の申請は可能です。過去を悔やむより、今日から先を止めるほうが現実的です。
Q. 学習をオフにすれば、履歴も残らなくなる?
A. いいえ、履歴は残ります。履歴自体を残したくないときは、ChatGPTの「一時チャット」やClaudeの「インコグニトチャット」を使ってください。こちらは学習にも使われません。
Q. 学習はオフにしているけど、それでも学習されたり漏れたりしない?
A. オフにすれば100%学習されないというものではありません。公式に明記されている例外が3つあります。
回答の下にある👍👎のボタンを押すと、その会話全体が改善のために使われます。
安全性のしくみが問題を検知した会話は、対策の目的で確認されることがあります。
すでに始まっている学習から過去のデータを取り除くことはできません。
ただし、これらは「入れた情報が誰かに公開される」という話ではありません。大事なのは、設定を万能だと思わないこと。入れていない情報は、どんな設定であっても漏れようがありません。
Q. 無料版を仕事で使うのは、やっぱりダメ?
A. ダメではありません。学習をオフにして、社名や個人名を入れないなら、下書きや調べものには十分使えます。顧客情報そのものを扱う作業だけ、別の手段を考えてください。
Q. 社名だけなら入れても大丈夫?
A. 社名は、それ単体で相手を特定できる情報です。伏せる価値がいちばん高いもののひとつなので、置き換えることをおすすめします。
Q. 会社でCopilotを使っています。ChatGPTと同じような設定は必要?
A. 職場のアカウントでサインインしているなら、設定は不要です。学習に使わない状態が最初から適用されています。確認するのは、[新しいチャット]ボタンの横に緑色のシールドが出ているかどうかだけ。ただし、Copilotは社内のファイルを横断して読みにいく仕組みなので、共有権限がゆるいフォルダがあると、本来見えるべきでない資料まで拾ってくることがあります。気になる場合は、社内の管理者に共有設定を確認してもらってください。
Q. 会社にルールがない場合、何から決めればいい?
A. 「入力しないもの」を3つ決めるだけで十分です。顧客名、金額の入った契約書、未公開の情報。この3つを共有するところから始めてください。
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🔗 参考にした公式ドキュメント
本記事の仕様に関する記述は、以下の一次情報をもとにしています(2026年8月時点)。
OpenAI
Anthropic(Claude)
Microsoft(Copilot)
本記事で紹介したツール
※AIツールの環境はめまぐるしく変化しています。本コンテンツの内容は2026年8月現在を起点とした実践と考察の記録です。仕様変更により情報の齟齬が生まれる可能性がある点はご了承ください。最新情報はコンテンツにて随時アップデートいたします。
※本記事は、当社の実践・研究と複数のAIクリエイターの検証結果や動向を参考に、ノンエンジニアのビジネスパーソン・クリエイター向けに構成したものです。
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