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AI検索で流入が減ったとき、何を数えればいいのか?

HAKONIWA Lab

2026/8/2 08:20

"AIに語られる"回数を数えれば
次に打つべき手が決まる

AIチャットの回答画面に、YouTube動画が参考情報として引用・表示されている様子を表したイラスト

「記事の順位は落ちてないのに、アクセスだけが減っている…」

そんな経験、ありませんか?

Search Consoleを開いても、表示回数は変わっていない。月によっては増えてさえいる。それなのに、クリック数だけが静かに下がっていく。

実はいま、検索の"入り口"の形が静かに変わり始めているんです。そしてこれは、記事の質やサイトの作りの問題ではありません。

検索結果の上にAIの回答が出るようになって、クリックされる前に用事が終わっている。それだけの話です。

ただ、困るのはここからです。順位は守れている。記事も出し続けている。それでも数字は下がる。じゃあ何を上司に報告すればいいのか?

答えは、「見る場所」を変えることです

この記事では、公開されている5つの調査を、HAKONIWAが繋ぎ、たどりながら、AI検索で流入が減ったあとに代わりに何を数えればいいのかを整理します。

結論を先に言うと、これからの指標は「検索された回数」ではなく「名前が出た回数」です。分析だけで終わらせず、今日から測り始められるところまで、順番に見ていきましょう。

📝 この記事の要点|30秒まとめ

1、AIの要約が出る検索では、検索1位でもクリック率は58%低い

2、それでも、検索する人はいなくならない

3、減りやすいのは"社名を含まない検索"

4、AIによる引用と関係が最も強いのは「言及された回数」
「指名検索の量」は、なんと最下位。

AI要約の有無による検索1位の平均クリック率比較グラフ(要約なしを100とした場合、要約ありは42で58%低下/Ahrefs調査)

見過ごせない数字を、ひとつ先にお伝えします。

Google検索の結果にAIの要約(AI Overviews)が出るとき、検索1位のページの平均クリック率は58%低いという調査結果が出ています。SEO分析ツールのAhrefsが、30万個のキーワードを比べた結果です。

順位は1位のまま。それでもクリックは半分以下になる。「順位を上げる」という打ち手が、そのまま成果につながらなくなってきた、ということです。


1. AI検索が広がると、サイトへの流入はどうなるのか?

中央のAI検索画面が、複数のWebページや検索情報を集約して回答を生成する仕組みを表したイラスト

確実に減ります。しかも、こちらに落ち度がなくても減ります。

先ほどの58%は米国のデータですが、日本でも同じ傾向の数字が出ています。

Hakuhodo DY ONEが2026年3月に公開した「AI検索白書2026」によると、AIの回答を見たあとサイトに行かずに終わる人、いわゆるゼロクリック(クリックせずに検索が終わること)は23.9%。約4人に1人です。

さらに、そもそもAIの要約が出る割合自体が増えています。同白書では、Google検索の結果にAI Overviewsが表示される割合が、2025年5月の9%から、同年11月には32%へ。半年で約4倍です。

つまり、これまでと同じことをしていても、AIの要約に当たる確率だけが上がっていく。流入が減るのは、そういう構造です。

💡 注意ポイント:Ahrefsの「58%低い」は、要約が出るキーワード群と出ないキーワード群を比べた数字です。「同じキーワードで58%減った」という意味ではありません。

2. 検索する人は、いなくなってしまうのか?

検索する人が減っている様子を表したイラスト

では、検索する人はいなくなってしまうのか?

今の段階では、いなくなりません。
むしろ、AIの回答のあとに"調べ直す"人のほうが多いんです。

AI検索の回答を見た後、そのまま検索を終える人は23.9%、検索エンジンで調べ直す人は32.8%であることを示す図

同じ「AI検索白書2026」で、AIの回答に加えて検索エンジンでもう一度調べる人は32.8%。ゼロクリックの23.9%より多い、という結果でした。

AIで完結する人より、AIのあとに動く人のほうが多い。これは「検索がなくなる」話ではなく、「検索の始まる場所が変わった」話です。

減っている検索の中身を見ると、その意味がもっとはっきりします。

月あたりの検索回数を比較したグラフ。減ったキーワードは約10.29億回、増えたキーワードは約10.31億回で、検索需要が別の言葉へ移っている

米国のマーケティング会社Fractlと専門メディアSearch Engine Landが、月1万回以上検索される101万個のキーワードを調べました(2026年7月公開)。

📊 わかったのは、こんな内訳でした。

  • 全体の 29% の検索量は、たしかに減っている

  • ところが減った分とほぼ同じだけ、別のキーワードが増えている

  • 追跡対象の 90% は、社名や商品名を含まないキーワード

  • そして、減りやすいのはこの"社名を含まない検索"のほう

理由はシンプルです。「〇〇とは」「〇〇のやり方」のような質問は、AIがチャットの中で答えきってしまえる。行き先のサイトが決まっていないので、クリックが起きません。

一方で、社名や商品名の入った検索は、行き先が決まっています。AIの回答だけでは終わりにくい。

同じ調査では、AIが商品やサービスをすすめたあと、その名前で検索し直す動きも報告されています。AIの回答が、次の検索を生んでいるわけです。

💡 注意ポイント:Fractlの調査は米国のデータです。日本の数字としてそのまま使うことはできませんが、方向としては白書とも一致しています。

3. AI検索は、"本棚"ではなく"聞き込み"に近い

本棚から自分で情報を探す従来検索と、AIに質問して候補を教えてもらう検索の違いを表したイラスト

AIは、棚を見せてくれません。名前を挙げるだけです。

ここで、「これまでの検索」と「AI検索」の違いを、ひとつのたとえで整理しておきます。

・これまでの検索=図書館の本棚
自分で棚まで歩いて行き、背表紙を眺めて、良さそうな1冊を手に取る。だから「棚のどこに置かれているか(=順位)」がすべてでした。並べ方を工夫すれば、手に取ってもらえたわけです。

・AI検索=詳しい人への聞き込み
「この辺でいい店ある?」と、詳しそうな人に聞く。相手は棚を見せてくれません。知っている名前を、いくつか挙げてくれるだけです。

聞き込みの相手が挙げるのは、その人がよく耳にしている「名前」です。棚の何段目に置かれているかは、あまり関係がありません。

そして、今、この"聞き込み"に参加する人が急増しています。

日本の生成AI利用率を前回調査と最新調査で比較したグラフ。個人は26.7%から58.8%、企業は55.2%から86.4%へ増加

総務省が2026年7月24日に公表した「令和8年版 情報通信白書」では、日本国内の生成AI利用率は個人で58.8%、企業で86.4%。前回調査の個人26.7%から、2年で2倍以上になりました。

「AIを使うのは一部の人」という前提は、もう実態と合っていません。自社がAIにどう説明されているかは、すでに多くの人の目に触れています

4. それなら、指名検索を増やせばいいのか?

指名検索をイメージしたイラスト

それなら「指名検索」を増やせばいいのか?

それも悪くはありませんが、優先順位としては少しズレます。調査により効果のある事がわかったのは「検索された回数」ではなく「語られた回数」でした。

指名検索とは、会社名や商品名など、自社の名前を含むキーワードで検索されることです。「AI検索で流入が減るなら、指名検索を増やそう」——最近よく聞く話です。

ただ、データを見ると、順番が違って見えてきます。

Ahrefsが2025年12月に公開した調査では、75,000社のブランドを対象に「どんな指標がAIの回答への登場と関係しているか」を項目別に調べています。

AIの回答への登場との相関を比較したグラフ。YouTubeでの言及が約0.74で最も強く、Web上のブランド名言及が0.66から0.71、指名検索は0.35から0.47

項目

AI登場との関係の強さ

YouTubeでの言及

約 0.74

ブランド名の言及(Web全般)

0.66 〜 0.71

ブランド名のリンクテキスト

0.51 〜 0.63

指名検索の量

0.35 〜 0.47

被リンクの数・サイトのページ数

ほぼ関係なし

指名検索の量は、ブランド系の指標のなかで最も弱い数字でした。「名前で検索されているか」より、「名前が語られているか」のほうが、はっきり強く出ています。

さきほどの聞き込みのたとえで言えば、指名検索は「あの店に行った人の数」。言及は「あの店の話をした人の数」。聞き込みで名前が出るかどうかを分けるのは、後者のほうだった、というわけです。

💡 注意ポイント:この数字は相関(一緒に動いている度合い)であって、因果(やれば結果が出る)ではありません。Ahrefs自身も調査の中でそう断っています。「指名検索を増やせばAIに載る」という話ではない点にご注意ください。

それでも、限られた工数をどちらに寄せるかを決めるときには、この差は十分な判断材料になります。

5. 名前が出る場所には、はっきりした偏りがある

なかでも強かったのが、YouTubeでの言及でした。

先ほどの表で最上位にあった項目です。被リンクの数やページ数がほぼ無関係だったのとは、対照的な結果になっています。

ただし、ここは言葉の意味を取り違えやすいところです。

YouTubeでの言及とは、動画のタイトル、説明文、文字起こしに社名が記載されることで、自社と他社・個人の動画のどちらも対象になることを示す図

「YouTubeでの言及」とは、動画のタイトル・説明文・文字起こしのどこかに社名が出ることを指します。再生数でも登録者数でもありません。

そして重要なのは、自社チャンネルの動画にかぎらないという点です。他社や個人の動画のなかで名前が出た場合も、同じようにカウントされています。

つまりこれは「自社チャンネルを毎日更新しましょう」という話ではなく、「自社の名前が動画のなかで語られる回数を増やしましょう」という話です。

同じ調査では、再生数の少ない動画で言及された場合でも大きく不利にはならない、という傾向も報告されています。効いていたのは、一部の動画で大きく取り上げられることより、広く言及されていることのほうでした。

なぜ動画がここまで効くのか。その仕組みについては、別記事で詳しく扱っています。

📖 YouTubeがAIに引用される時代へ|再生数より大事な"5つの構造"

6. 今日から測る、2つの数字

主に見るのは「名前が出た回数」。あわせて見るのが「名前で検索された回数」です。

特別なツールは要りません。順番に見ていきます。

AI検索対策で測る2つの指標を示す図。主に見るのはGoogle検索やYouTube検索で社名が出る件数、あわせて見るのは社名を含む検索の表示回数とクリック数

① 名前が出た回数を数える(主に見る数字)

  1. Google検索で、社名を "サンプル株式会社" のように引用符で囲んで検索する

  2. YouTubeの検索窓でも、同じ社名を検索する

  3. それぞれのヒット件数と、上位に出てきたページ・動画をメモする

これを月に1回、同じ手順で記録します。絶対数を追うのではなく、増えているか減っているかを見るための作業です。

最初の1回は、比べる相手のいない「基準線」を引くだけ。それで十分です。

② 名前で検索された回数を数える(あわせて見る数字)

  1. Search Consoleの「検索パフォーマンス」を開く

  2. 「クエリ」のフィルタで、社名やブランド名を含むものだけに絞る

  3. 期間を「過去16か月」にして、表示回数とクリック数を記録する

🚩 コツはこの2つ。

  • サイト全体の数字と分けて見る
    まとめて見ていると、社名を含まない検索の減少と指名検索の動きが相殺されて、何も見えなくなります

  • クリック数だけでなく表示回数も残す
    クリックが減っていても表示が増えていれば、認知は動いています

7. 名前が出る回数を増やす、3つの打ち手

スマートフォンを中心に、3つの打ち手を組み合わせて、企業やブランドの言及を増やす施策を表したイラスト

待っていても、言及は増えません。出る場所を、意図的に作ります。

① 🎤 自社で語る

自社の動画や記事のなかで、社名が文字として残る形で語ります。動画の場合、話した内容はそのまま文字データになります。

だから「弊社では」ではなく「サンプル株式会社では」と口に出す。それだけで、残るデータが変わります。ロゴを画面に映しても、文字としては残りません。

② 🤝 他社に語ってもらう

インタビュー、事例紹介、共同企画、イベント登壇。第三者の場で名前が出ることは、自社発信より広い範囲に届きます。前章のとおり、他社の動画での言及も同じようにカウントされます。

③ 📐 語られる材料を用意する

自社にしかないデータ、具体的な事例、はっきりした数字。こうした素材は引用されやすく、引用されるときには社名がセットで残ります。

この3つのうち、①がいちばん自分でコントロールでき、③がいちばん効率が良い、という関係になります。まずは①と③を意識しながら始めるのが現実的です。

8. FAQ

Q. SEOはもうやらなくていいということですか?
A. いいえ。AIの回答のあとに検索し直す人が32.8%いる以上、受け皿としての検索対策は引き続き必要です。優先順位が変わるだけで、不要になるわけではありません。

Q. 指名検索を増やす施策は、無駄になりますか?
A. 無駄にはなりません。ただ、AIの回答への登場との関係でいえば、指名検索の量(0.35〜0.47)より言及(0.66〜0.74)のほうが強く出ています。先にやるなら言及のほう、という話です。

Q. 「言及された回数」を正確に測るツールはありますか?
A. 有料の専門ツールはありますが、まずは検索でのヒット件数を毎月同じ手順で記録するだけで十分です。大事なのは精度より、同じ測り方を続けることです。

Q. うちは動画を作っていないのですが、手遅れですか?
A. いいえ。「YouTubeでの言及」は他社の動画で名前が出た場合も含みます。自社チャンネルがなくても、事例紹介や対談に出るところから始められます。

Q. どのくらいで変化が見えますか?
A. 月1回の記録を3回ほど重ねると、方向が見えてきます。1か月では判断できないので、基準線を引いて待つのが先決です。

9. まずはこれを試してみよう

いま自社がAIにどう説明されているか。まずは1分でチェックしてみましょう。

🎯 まずはこのプロンプトで試してみよう

あなたは検索マーケティングの担当者です。
以下の会社について、AI検索での見え方を棚卸ししてください。

【会社情報】
会社名:(ここに社名)
事業内容:(ここに事業内容を1〜2行で)
主なサービス:(ここにサービス名)

【調べてほしいこと】
1. この会社名を知っているか。知っている場合、どう説明するか
2. この会社の業種で「おすすめの会社」を聞かれたら、どこを挙げるか
3. 2で挙げた会社と比べて、この会社の情報はどこが不足しているか

【出力のルール】
- 知らない場合は「知らない」と答えること。推測で補わないこと
- 情報の出どころが分かる場合は、どこで見た情報かを書くこと
- 3は、公開されている情報が足りていない箇所を具体的に指摘すること

自社の名前が出てこなくても、心配はいりません。注目してほしいのは、代わりに誰の名前が挙がったかです。その会社のサイトや動画を覗いてみると、いま何が語られているのかが見えてきます。

返ってきた答えは、日付をつけて保存しておいてください。3か月後に同じプロンプトを投げると、変化がわかります。

10. まとめ

最後に、ここまでの内容をおさらいします。

1. 流入は減る、しかも落ち度がなくても減る
AIの要約が出る検索では1位でも、クリック率が58%低いという結果が出ています。

2. それでも検索する人は残る
AIの要約を見たの後のゼロクリックは23.9%、調べ直す人は32.8%。

3. 減りやすいのは"社名を含まない検索"
追跡対象の90%が非指名の検索で、そこから先に減っています。

4. AI検索は"本棚"ではなく"聞き込み"
検索結果(本棚)の順番ではなく、よく耳にする名前かどうか(聞き込み)が重要です。

5. 効くのは指名検索より"言及"
指名検索の量(相関係数)は0.35〜0.47、ブランド名の言及は0.66〜0.71、YouTubeでの言及は約0.74。

6. 測るのは2階建て
主に「名前が出た回数」、あわせて「名前で検索された回数」を見ることが重要です。

7. 今日の一歩
社名を引用符で囲んで検索し、件数をメモする。それがスタートラインになります。

📌 いちばんお伝えしたいこと

順位を上げる作業から、名前が出る場所を増やす作業へ。測る対象が変われば、打つ手も変わります。まずは自社の名前で検索して、いま何件出てくるかをメモする。ChatGPTに自社のことを聞いて、返ってきた答えを保存する。この2つなら、今日30分で終わります。翌月、同じことをもう一度やってみてください。増えているか減っているかがわかれば、次に何をすべきかも見えてきます。


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本記事は、AI活用・SNSマーケティングを研究するラボ型メディア「HAKONIWA Lab」が、公開されている調査データと自社の知見をもとにまとめました。

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※本記事は、HAKONIWA合同会社の実践・研究と公開されている調査データをもとに、ノンエンジニアのビジネスパーソン・クリエイター向けに構成したものです。

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